鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 形態科学(旧 神経解剖学)
口岩 聡 Satoshi KUCHIIWA Ph.D.
鹿児島純心大学 大学院人間科学研究科・人間教育学部 教育・心理学科
口岩 俊子 Toshiko KUCHIIWA Ph.D.

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私たち研究グループの研究・Research of our group

一酸化窒素が摂食とエネルギーバランスに関係する?

 視床下部にはオレキシン(神経ペプチドの一種)を産生する細胞群があり、これらは摂食とエネルギーバランスの調節に関わっていると考えられています。同様に視床下部には一酸化窒素合成酵素を含む細胞が密に存在し、さまざまな視床下部の機能に関係している可能性が示唆されています。私たちのダイオキシン脳障害に関する研究では、ダイオキシンを摂取すると拒食症状と共に視床下部の一酸化窒素が減少することが明らかとなっていました。私たち研究グループはオレキシンニューロンと一酸化窒素ニューロンの摂食およびエネルギーバランス調節機能との関連性について示唆を得るため、同一細胞内に両物質を含む細胞の検出を試みました。その結果、視床下部の摂食中枢と考えられている領域に両物質を共存させる細胞が多く存在することが明らかになりました。この研究によって、オレキシンだけではなく、一酸化窒素も摂食やエネルギー調節作用に関係していることが示唆されました。 (Neuroscience Research, vol. 46: p.53-62, 2003

上3枚の顕微鏡写真では、一酸化窒素合成細胞(黒矢印)は青黒色で、オレキシン細胞(白矢印)は茶色に染色されている。下の4枚の共焦点レーザー顕微鏡写真では、一酸化窒素細胞が緑色、オレキシン細胞が赤色に染め出されている。黄色は、両物質を共存する神経細胞および神経突起であり白矢印で示されている。視床下部ではオレキシンと一酸化窒素の両方をもつ細胞が存在することを示している。(Neuroscience Research, vol. 46: p.53-62, 2003から引用)

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