鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 形態科学(旧 神経解剖学) 口岩 聡

トップページへ戻る
Return to Home

私たち研究グループの研究・Research of our group

頭部・顔面・口腔領域の血流調節

 頭部・顔面・口腔領域の血流調節は唾液核を起始する副交感性節前神経およびその分布領域に点在する神経節(末梢組織に存在する神経細胞集団)群によって調節されています。顔面神経に節前線維(中枢から神経節に至る神経線維)を出す細胞集団を上唾液核(延髄の神経細胞集団),舌咽神経に節前線維を出す神経細胞群を下唾液核と定義しますと、両者の中枢での分布はかなりの部分がオーバーラップしており、また末梢の血管支配も大半がオーバーラップしています。したがって、上唾液核と下唾液核を解剖学的に区別する意義は小さいと考えられます。下図は唾液核の血管支配様式を示したものです。教科書にしたがって上唾液核と下唾液核を別々に示していますが、末梢での血管支配はオーバーラップがよく見られることを示しています。

唾液核の重複

 血管を支配する節後ニューロン(神経節細胞)は頭部・顔面・口腔領域に広範に分布しています。顔面神経系では、鼓索神経管内に鼓索神経節(CTG)、舌神経に沿って舌周神経節(PLG)、舌根部と舌体内の舌神経節(LG)、顎下腺門に位置する顎下神経節(SMG)、顎下腺内の副顎下神経節(ASMG)(顎下神経節は主に外分泌調節、副顎下神経節は主に血管調節を担当しています。)、翼突管中の翼突管神経節(PCG)、翼口蓋窩の翼口蓋神経節(PPG)、眼窩後部に位置する後眼窩神経節(ROG、ネコ)などが挙げられます。舌咽神経に属する神経節には、鼓室神経叢中の鼓室神経節(TyG)、蝶錐体裂中の蝶錐体神経節(STG)、三叉神経の下顎神経基部に位置する耳神経節(OG)と副耳神経節(AOG)、舌体内の舌神経節(LG)が挙げられます。舌神経節は、舌体内に分散する多数の小神経節群で、顔面神経と舌咽神経の両者を経由する支配を受けています。舌根部の神経節(舌根神経節LRG)は分泌細胞を含みますが、舌体部の舌神経節LGは小型の血管運動細胞のみから構成されます。動眼神経には一般に血管調節神経は含まれないとされていますが、鳥類では動眼神経成分中に血管調節細胞が混在します。サルと人では眼球内に多数(数千個)の神経細胞(眼球神経節OcG)がありますが、これらは固有の動眼神経性の神経節細胞とは形態が著しく異なっています。(東京医学社 JOHNS, vol. 30, 2014 頭頸部の自律神経)眼球内に標識物質を注入した研究では、唾液核に逆行性標識細胞が出現しませんでしたので、これらの細胞の節前ニューロンは動眼神経に関係すると考えざるを得ません。形態学的には、これらの細胞は、毛様体神経節や副毛様体神経節とはまったく異なる細胞です。私たち研究グループは、これらの細胞は血管調節(眼圧調節)に関わる細胞ではないかと推察しています。

頭部神経解剖図

頭部 副交感性神経節の分布(伸展標本)

 Vは動眼神経、Zは顔面神経、\は舌咽神経、GGは膝神経節、TGは三叉神経節、SGpGとIGpGは舌咽神経上・下神経節、SVGとIVGは迷走神経上・下神経節である。その他、Liは舌神経、Ncは鼻毛様体神経、Etは篩骨神経、Ioは動眼神経下斜筋枝を示す。

Pagetop