鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 形態科学(旧 神経解剖学)
口岩 聡 Satoshi KUCHIIWA Ph.D.
鹿児島純心大学 大学院人間科学研究科・人間教育学部 教育・心理学科
口岩 俊子 Toshiko KUCHIIWA Ph.D.

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私たち研究グループの研究・Research of our group

特定の脳神経細胞に薬を届ける

 脳は脳脊髄液に浮かんだ状態で衝撃から守られています。脳脊髄液と脳実質との間には髄液脳関門と呼ばれるバリアがあり、脳脊髄液中の物質が無差別に脳の中に入らない仕組みがあります。(脳表面には星状膠細胞の突起で作られる境界膜が、脳室表面には上衣細胞層の膜状組織が存在し、これらが脳脊髄液と脳実質の接触を遮断しています。)

 私たち研究グループは、まったく偶然ですが、髄液脳関門を選択的に通過する物質(全部の細胞ではなく、特定の細胞だけが取り込む物質)が存在することに気づきました。それら“特定の細胞”の樹状突起は、星状膠細胞突起の境界膜または上衣細胞層を貫通して脳脊髄液中に到達し、その先端から脳脊髄液中に含まれる物質を吸収すると考えられました。私たち研究グループは、病巣となる神経細胞群だけが取り込む物質(ヴィークルまたは標的化剤)を探し、その物質に特定の薬物を運ばせることができないか、一連の実験を試みました。これまでのところ、ヴィークルとして使用できる物質としてレクチン類やエンテロトキシン類など、多数の化合物が候補に挙がっています。将来的に治療対象となり得る神経細胞集団は、中脳の縫線核セロトニン産生細胞および小脳のプルキンエ細胞です。前者は、多くの精神疾患に関係すると考えられ、後者は運動調節機能と関係すると考えられています。(特許のページをご参照ください。特願2007−556048

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